課外授業での『楽しい』気づき

課外授業の中で、印象的だった講師の言葉を一つ。

 『ほんのちょっと、日本語が楽しいなあ、と

  背中を押してあげられたら、大成功』

講習期間は「まず日本語の勉強!」という私の固い頭を

いい意味で全否定してくれました。うまくいかないことも多いけど

『楽しい』という気持ちに気づくことは、

モチベーションを焚き付ける活力剤だと思います。

仕事も趣味もなんでも

①日本語勉強を頑張れば、日本が楽しい

②日本が楽しいから、日本語を頑張る

①と②の違いに気づけた、とてもとても『楽しい』日でした。

そして何より、実習生が楽しい、良い顔をしていました (^^♪

誰が、誰を?

技能実習、特定技能ほかさまざまなかたちで来日する人たちと接する場に身を置いていると、日本人諸氏から、

外国人をサポートしたい

という声を聞くことも少なくない。親切心からおっしゃっているのはわかる一方で、違うなぁ、と思うことが9割である。

中長期に渡り日本に住もうと海外から来てくれる人たちにいろいろ教えてあげたい、というお気持ちはわかる。一定の日本語力が必要な場面は多々あるし、その点で手伝えることは確かにある、しかし。日本語に関して一日の長はあるかもしれないが、それ以外に関しては違う、可能性が高い。

相手はさまざまな知識、技術、経験、意思決定力において自分よりシタタカなツワモノだと、まずは想定したほうがいいと私は思う。教エテアゲル上から目線で入ると遠からず、表面的なオモテナシしかできていないことに気付かされる、気付いたらまだマシなほうで・・・そんな光景をたくさん見てきた。ゆえに自戒を込めて。[こでら]

カレーの概念が変わる

という体験が私(小寺)には2度あった。それ以前の基本概念は、ゴロっとしたじゃがいもや人参や何らかの肉やらが入っている、そしてご飯にルウをかける、いわゆるカレーライスだ。

概念が変わった1度目は、ニューヨークでふと踏み入れたインド料理店にて、ナンとの遭遇である。米ではない、パンとも違う。ふっくらしてアツアツ、ルウを付けても付けなくてもうまい、コレがナンなんだ!

2度目はスリランカにて、これは京のおばんざい屋ではないのか(写真2枚)。お好きに取っておくれやす方式であった。もはや液状のルウはない。ぶ厚いバナナの葉の中央に米を、周りに複数の惣菜を盛り付け、手でまぜながら食べる、うまい。革命と言っていい。一般に皿とスプーンで食べる場合(白い皿の写真)も同じくバイキング方式だ。惣菜は限りなく多彩、ことごとくうまい、そこにあるものは網羅せずにはいられない。

本場のスリランカカレーは日本でも味わえる。青い皿に盛り付けてある写真は、某セイロンカリー東大阪店にて。ちなみに鶏もも焼も魚フライもサラダのドレッシングまでも、うまい。

そして店に限らず、スリランカ生の手料理も毎度うまい。下の写真は入国後1か月講習の修了式にて。味付けはスパイシー、かつ彼ら自身のように、やさしい。盛付けも取分け方も、ジェントルである。建設現場に出てゆく彼らは、機械運転もきっとそのようであろう。

スリランカ人お手製カレー、みんなちがってみんなうまい説☺

新・珍 感覚

コレを知らずに初めて口にしたとき、思った通りの味・食感だと言い切れる人間がかつて存在しただろうか。現代日本人では皆無に違いない。キルギス人実習生(20代女性)たちが国から持ってきてくれた「お菓子」、クルトという。キルギスで子供が皆よく食べるお菓子だというので、ミルキーはママの味♪くらいのつもりで軽やかに頬張ると、全然、違う。

しょっぱい、かたい、乾ききっている。

コレを食べながら何を飲むのか尋ねると、男性はビール、女性や子供は水やお茶、だという。お菓子であり、おつまみでもあるようだ、一安心。幼少期からコレをバリボリ嚙み砕いてきた人たちに、柔らかいスゥイーツばかり嗜んできた我々は太刀打ちできないと思いきや、そうでもないらしい。今や様々あるお菓子の一種に過ぎない、とはいえ、幅広い人気の品として長らく受け継がれ続けているのは事実。

クルトの伝統的な製法は、ヨーグルトの水を切り、塩を加えてよく混ぜ、写真のように小さな円筒や円盤・球状に成形して数日間天日干しする。材料は発酵乳と塩のみ。やめられないおいしさ、などとはお世辞にも言いにくいが、かみしめると同時に遠く現地の風景や文化・歴史につい想いを馳せてしまう、味わいがある。

そんなクルトのしょっぱさとは打って変わって、二人の手料理は素材そのままを活かすかたちで、あっさりとしたおいしさ。甘すぎず辛すぎず脂っこくもなく、実際に入れた調味料も少しだけとのことで、日本人に合わせようとしたわけではなく、母国・実家で作るのと同じように作ったという。

日々無知の知。おいしい、おもしろい、ありがたい。

各社さま各様の実習修了式

実習1・2号(計3年)修了時、以前は同期グループを大阪に集めて帰国式・送別会を行い一泊、翌朝関西空港から帰国する流れでしたが、現在はそうではありませんし、そのようなかたちにはおそらく戻らないでしょう。

変化した時期はコロナとも重なりますがそれが主因ではなく、2017年から実習3号(4~5年目)が運用開始され徐々に浸透、2019年からは特定技能も運用開始されたことで、日本での進路の選択肢も複数に、帰国日程は各個調整のご要望も増え、3年満了帰国式などを組合で一斉には行い難くなりました。

そこで、実習修了証の授与などは可能な限り、各会社様において機会をいただいています。写真は5年(実習3号)修了式を全社的に行われた様子です。式典の形はとらずに行われたり、やり方はさまざまあることと存じます。いずれにしましても、濃密な数年間を共有し一区切りを全うした実習生、会社の方々の感慨深い光景には、私たちもぐっと来るものがございます。

かつて組合で送別会をしていた際のメインイベントは、入国時に書いた「3年後の自分への手紙」を各自封切って読み上げてもらうことでした。書いたことを実現できたできなかったとか、日本語が下手になって3年前の自筆の漢字を読めないこともしばしば、まぁ盛り上がったものでした。

実習1号入国後講習時にその手紙を書くことは基本的にまだ継続していますので(何らかの事情で実施できていない場合もございますがあしからず)、3年後に読み上げる企画、各社様におかれましてもよろしければぜひどうぞ。

そこには、愛しかない

愛しか、と言うと語弊があるでしょうか。実習生たちの実家、訪問。喜びや楽しさや哀しみや寂しさや、遠慮、誇り、感謝、さまざまな想いが交差する、通い合う、それらを一括りに愛と呼んでもわるくはないでしょう。

海外現地訪問の目的にはまず候補者面接があります。あとは食べたり飲んだり、観光地巡り、マッサージもいいかもしれません。しかし私たちには、異国の地のナマな人間や生活に肉迫できる明白な口実もツテもあります。だからこそぜひ、受入れ企業の皆さまに一度は体験いただきたい! 実家訪問、家族会、OB会、現地企業訪問などなど、観光ツアー一般にはない企画、おすすめです。

日本語学習奨励金 はじめました

2024年度初めを機に、実習生(・特定技能生)の積極的な取組みの一助になればと、ささやかながら【日本語学習奨励金】を新設いたしました。

《内容》
来日前または来日後2年2か月以内(日本での受験機会も4回あり)にJLPT N3に合格した実習生および特定技能生を対象に、奨励金1万円を授与する。
ただし、実習・生活への取組み姿勢や普段のやり取りから、当組合担当者(または企業様)がふさわしくないと判断した場合は対象から除外する。

《奨励金授与時期》
対象となるJLPT N3の合格通知書または認定書をもって合格確認でき次第なるべく早く、当組合担当者より現金にて授与する。
基準を満たして来日した場合は、入国後講習中または企業配属時に授与する。

奨励金新設にあたり、2024年3月末現在、日本在留中ですでに基準を満たし、初めの対象となったのは23人でした(試験合格基準を満たすも当方担当が除外した者も数名あり)。

奨励金をはじめるきっかけの一つは、実習3年または5年満了の記念品在庫が残りわずかとなったことです。3年満了時にタンブラー(入国時の写真入り)を、5年満了時にトートバッグ(組合印鑑ロゴ入り)を満了生全員に渡していまして、在庫補充や代替案も考えましたが、廃止することにしました。あまり喜ばれず記念にもなりにくいと度々感じたことや、制度も改定される見通しで3年や5年の区分なども変わるであろうことなどがその理由です。

この企画はあくまでも、すでに達成した日本語試験合格への祝い金ではなく、これからより一層学んでもらうための奨励金、という趣旨です。これだけで大きな誘因になるような金額ではないですし、効果のほどは定かでないですが、少しでもやる気や笑顔につながればいいなと、まずはやってみようと思います。

入国後講習 修了式

手料理や自己紹介、歌も披露してくれた主役の実習生らが奥で小さく見えにくい画角は、ウチのポジティブカメラマンの斬新な遠近法とご笑覧あれ、入国後講習の修了式にて。

日本語学習中の外国人と対話するとしばしば思う、そこらのニホンジンより余程通じる、と。日本語の使い方は習い覚えた分だけ上達し得るかもしれない。が、それと意思疎通とはまったく別の能力ではないか、とさえ思うことがある。理解力や伝達力は、語学力とはどうも比例しない気がする。

ネイティブ、などというものはまったくアテにならない。自らを含め、そんなものをアテにしてはならないと思う。