初めてのインド人 ~若きエンジニアの卵がやってきた~

南インドからやって来たエンジニアの卵、20代前半の二人と入国から勤務開始にかけての数日間、

受け入れ窓口として密着した。

 

それぞれ機械工学専攻の大卒、日本語も約1年学んでおり、差はあるがN3程度の会話力は身に付いている状態で、

今年6月末・7月初めにオンライン面談のうえ概ね採用決定し、7月中旬に現地へ会いに行った。
初めてのインド ~人間の森へ~

 

来日2週間ほど前から、Xiaomi/Samsungのスマホを持つ彼らとLINEグループを作ってやり取りを始めた。

寮となる部屋の家賃や用意すべき初期費用など現地機関を通じて連絡しているが、

直接本人たちへもメッセージを入れてみたら難なく通じた。

南インド内陸部、暑ければ40℃近く、サムくても20℃前後の地で育った彼ら。

作業服の下に着るものとか、なかなか実践的な質問を投げかけてきてうれしくなる。

まず欲しいのはネット接続環境ね
どんな種類のズボンをはけばよいか?
作業服の下に着るおすすめは?
オッサンの私服例でゴメンネ
 

インド出発前、マレーシア乗り継ぎ時、関空到着時、いずれも自発的に状況報告のメッセージをくれた。

折々感じさせられることだが、彼らは相手の意図や懸念を汲んだコミュニケーションを取ることに長けている。

日本語能力以前に想像力があり、言葉や態度で示す表現力も自制心もある。

ソンナの始めだけ、の可能性ももちろんゼロとは言い切れないが。

 

ついに。航空機到着後1時間強、わりと早く出て来た。軽装である。スーツケース各自一つだけ、

ラップでぐるぐる巻きにしているのは現地機関のアドバイスだろうか、余計な詮索から逃れやすそうだ。

荷物も着こなしもコンパクト

関空から役所に直行して転入届、待ち時間は長い。続いてのマイナンバーカード「特急申請」も混み合っていて

申込は全然特急でなかったりしたのだが、彼らは染み入るように言う、ミンナ優シイデスネェ。

 

何やかやで夕刻もせまり、とりあえず食事はちゃんとしようとO将へ。

食事については事前に何度も尋ねているが、彼らは比較的何でも食べられるらしい。が、習慣の決定的な違いとして、

インドでは一般に手で食べる。箸は使ったことがなく、使えない。結果的に彼らが選んだのはチャーハンであったが、

その選択が母国の食習慣から導き出されていることは、インド渡航歴一度きりの私にもわかる。

 

まず米がいいと言う。ラーメンなどの汁物には目もくれない。出汁やスープ系には全く馴染みがないようだ。

たしかに、私もインドでその類のメニューには出会わなかった。汁なし系、麺料理はあると言う。

最終的に焼きそばとの二択でチャーハンが競り勝った。

別で、気に入るに違いないと私が断定し、彼らの意向は聞かずに注文したメニューがある。餃子だ。

手で食べられるかどうか、がメニュー選びの潜在的な基準になっている、ように見える

スプーンやフォークを使う手付きにも初心者感が漂っている。結局、チャーハンも卵スープも餃子も

全部オイシイデス!と残さず平らげた。餃子を一人はフォークで突き刺して、一人はごく自然に手で取って食べた。

私は全然構わないけれど、いきなり手で食べたらみんな驚くよ、と言うと彼は即座に察している。

手指そのものを使ってすべて食べる、幼少からの大前提こそ私たちと異なるものの、

パラパラピチャピチャこぼすこともなく、咀嚼音をクチャクチャ立てたりもせず、米粒一つ残すことなく、

至って上品である。食事に限らず彼らが体現する“常識”に違和感はない。

 

食後、明朝すぐに食べられるものも買っておこうとスーパーへ。習慣として、昼にしっかり食べて朝晩は軽めにすると言う。

彼らが買ったのはバナナと食パン、水のみであった。

 

翌日金曜は会社で入社手続き後、ホームセンターで調理器具や掃除用具のほか、100円ショップ、Uニクロなどで諸々の買い物。

特徴的だったのは、まな板も包丁も小さいのがいい、肉を少し開いたりするくらいだから。ゴミ袋・ゴミ箱も45ℓは大き過ぎると、

サイズ控えめにした。なるほどなぁ、インドでの食事風景を振り返れば思い当たる節がある。

食材や調理方法、メニューの種類は日本ほどバラエティに富まないイメージ。そこにはもったいない精神も宿っている気がするが、

キャンプで手軽においしく調理するような感覚が、日常かもしれない。かく言う私のレパートリーは2種類しかない、鍋か炒め物か。

刃物はペティナイフ一つで十分だと。職人風にも聞こえるが

昼夕兼用の時間になり、定食屋へいざなってみる。やはり米がいいと言う。何でも食べられるというものの、チキンが無難らしい。

親子丼にサラダを付ける、一人は大盛。サラダもスプーンで食べにくそうにしているが仕方ない。セットのみそ汁含め

全部オイシイデス!再び。

何でも食べるがとりあえずトリで

日曜の朝、部屋を訪れるとかなり整った感がある。散漫なところがない。

キッチンの洗い物や食器棚、干している洗濯物を見ても整然と並べられている。ガサツなミナサマは感じないだろうが

センサイな私にはわかる、どちらかあるいは両人とも、間違いなく几帳面さを持ち合わせている。

洗い物も省スペースでコンパクトに
端に寄せて揃えて
奥に寄せて重ねて
間隔も空けて

目線より上の棚には、見ざる聞かざる言わざるの置物があった。このお坊さんたちを配したのは口数少ないほうの彼、

インドの自宅にあったものではなく、来日前に新調して持参したのだという。癒される。

無聞 無言 無見 無憂

週末にわざわざお宅拝見に来たわけではない。彼ら待望のデータSIMを買いにナンバへ、ベトナム人経営の店に連れて行くためだ。

ベトナムのSIMですか?と不安げに彼らが尋ねるのも無理はない。iPhoneや電気機器、飲食店や食料品、衣料品、自転車、美容院、

リサイクルショップから不動産屋、ビリヤード店まで何でも揃う、ベトナムコミュニティの網羅的拡大について解説しておく。

 

昼はまた定食屋へ。米とオカズのコラボ、丼物が食べやすいようだ。やはりチキンがいいか、いやブタも食べることがデキマス、

インドで食べた経験が一人はあり、一人はないと言う。かつ丼にしてみる、副菜にそれぞれコロッケとサラダを所望した。

三度目の、全部オイシイデス!

かつ丼もイケます!七味も振りかけて

翌月曜日、勇気を出してはじめてのゴミ出し、難なくクリア。

いよいよ勤務開始。出勤時刻の8時半はインドの5時、生活リズムも仕事もしばらく慣れないだろうが、

お互い良いところを見て聞いて声に出して、楽しく学び合いたいと思う。

ゴミはココに出してね、の図
学習意欲ヨシ!ゴミ出しヨシ!